● ハベカシン ●
1)有効血中濃度 ピーク値 9~20μg/mL
トラフ値 2μg/mL以下
●ハベカシンの治療効果は上記の範囲内の濃度で維持することにより得られます。現在、高用量を1日1回投与することが推奨されており目標ピーク値が高く設定されていますが、ピーク値が高すぎる場合は1回の投与量を減らし、トラフ値が高い場合は投与間隔を延長するなどの調整が必要です。トラフ値が2μg/mL以上であると中毒症状が発現してくる可能性があります。(cf.明治製菓DIセンター)
●ハベカシンは肝臓で代謝されず、投与量の85~96%が糸球体濾過により未変化体として尿中に排泄されます。その腎クリアランス及び全身クリアランスは、ほぼGFRやCcrに比例します。腎障害患者では体内からの消失が遅くなり、Ccrが5mL/minの重度腎障害の場合、消失半減期が24~96時間に延長します。
●腎障害を引き起こすおそれのある血液代用剤であるデキストラン、ヒドロキシエチルデンプンなどとの併用によりハベカシンの血中濃度が上昇し、腎障害が発現、悪化することがあります。またループ利尿薬であるエタクリン、フロセミドなどとの併用によりハベカシンの血中濃度が上昇し腎障害や聴器障害が発現、悪化することがあります。
2)採血時間
①点滴: ピーク(点滴終了直後の値)とトラフ(次回投与直前)
採血1回の場合はピーク(点滴終了直後の値)を推奨
②筋注: 投与後30~60分とトラフ(次回投与直前)
③透析: ①と②に加えて透析開始直前と透析終了直後
推奨
筋注した場合、アミノ配糖体は若年成人で30~60分後に最高血中濃度に達することが知られています。しかし40歳以上の成人では最高血中濃度到達時間は延長し、バラツキが大きくなることがあるため注意が必要です。
しかし、施設の測定環境や採血目的、患者様の状態によって測定可能な時間帯などさまざまな環境があると思います。 出来るだけ投与前で・・・m(_ _ )m
採血時間は、きっちりチェックしておいてください。重要です。
引用参考文献
1.薬剤師・薬学生のための実践TDMマニュアル 編集:伊賀立二、乾 賢一 株式会社じほう
2.ハベカシン注射液添付文書 2009年8月改訂(第6版)
2011/02/14 改訂 ( 文責 小西 正晃 )