臨床上TDMが必要な薬は?

 TDMは、すべての薬剤に有用ではありません。TDMが有用とされる薬剤には、ジギタリス製剤のような治療域と中毒域が近接する薬剤やフェニトインのように少しの増量で一気に、血中濃度が中毒域に入るような投与量と血中濃度に非線形性がある薬剤などが挙げられます。ketchunoudo

 さらに、途中で他の薬を追加投与した場合、併用により血中濃度が単独に比べ高くなることもあります。逆に血中濃度を低くすることもありますので、こういう場合もTDMをおこなった方が良いでしょう。

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また、MRSAの出現に伴ない、VCM、ABK、TEICなどの抗MRSA薬の使用量が激増しています。抗MRSA薬の不適切な投与は、より高度な耐性菌の出現を招くことにもなるし、腎排泄型の薬剤が多いことから、腎機能の悪化を招くことにも繋がります。 抗MRSA薬も、TDMが非常に有用な薬剤に挙げられます。そのうえ抗MRSA薬は、決して安価な薬ではありません。その乱用は、ますます医療財政の逼迫を促進します。TDMは、確実な治療効果を立案してくれるツールですので、薬剤の適正使用の進展を担う一翼になります。みなさまも、ぜひTDMを試みましょう。

 

県立丸亀病院 川見